モナコ公国 レスポンシブル・ラグジュアリー

カジノ広場 © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

 

サステナブル・ツーリズムで世界をリード

モナコは、美しい宝石のような国だ。光輝く青空に紺碧の海、太陽が燦々と降り注ぎ、年間300日以上が晴天で「リヴィエラの真珠」と称される。多くの観光客が集まり、治安の良い国としても知られる、世界中を魅了するラグジュアリー・リゾート地だ。

一番近い空港はフランスのニース・コート・ダジュール国際空港だ。空港からモナコまで、車で約40分。フランスとイタリアの間にあり、ニース-モナコ間はヘリコプターで約7分、イタリアからも車・電車で約40分の地にある。面積は約2㎢、世界で2番目に小さな独立国である。

華やかなイメージで知られているモナコだが、地球環境に優しいサステナブルな観光の取り組みでは世界をリードしている。

モナコでは長年にわたって環境保護を重要な課題として扱い、モナコ公国のアルベール2世大公は、持続可能な開発を促進することを目的とした政策に取り組んできた。

政府はモナコの具体的な取組みについて記した環境白書を発表している。観光と環境保全の両立を目指し、観光業界を中心に、政府だけでなく国民も一体となり、サステナブルな渡航地にするために、どのように取り組みを進めているかを知ることができる。

モナコ政府観光会議局「モナコ公国におけるサステナブル・ツーリズムに関する白書」

白書の目的は、国連のSDGsや公国独自のエネルギー移行目標からヒントを得て、将来の観光に備えてさらに持続可能なものにすることにある。モナコ政府観光会議局およびフランソワ・ツーリズム・コンサルタンツ社を中心に、各協力団体・機関、モナコ環境局エネルギー移行部門の共同作業によるものだ。

ラグジュアリーでありながら、観光による 環境負荷を削減するためにさまざまなサステナブルな取り組みを行っている、レスポンシブル・ラグジュアリーを実践しているモナコ公国。

具体的な数値として、2030 年までに1990年代比で温室効果ガスの排出量を55%削減、2050 年までにカーボンニュートラル実現を目標としている。生物多様性、資源管理、温室効果ガスの削減に重点を置き、目標達成に向かって住民が努力をし、観光業界の関係者も同じく政府の環境政策に賛同して尽力している。

例えば、モナコ公国のホテルの約88%の客室が、環境配慮していることを示す国際的な環境認証を取得している。4つ星のホテルでも、省エネの工夫が施された客室、オーガニック素材や旬の食材を用いたメニューが豊富なレストランなどの試みをしている。


モナコでのサステナブルな過ごし方

 

モナコでは、観光による環境負荷を削減するためのさまざまな取り組みをしている。それは、観光客自身がモナコでサステナブルな過ごし方をすることにもつながる。

 

ミシュランの星付きレストランと「テラエ」による菜園

料理界を牽引するスターシェフたちが腕をふるうミシュランの星付きレストランが多く、美食の国として知られるモナコ。

モナコのレストランには、地元で収穫された食材やホテルの自家菜園の新鮮な野菜を使った料理を愉しむ場所が多くある。

2022年度ミシュラン2つ星に昇格したモンテカルロ・ベイ・ホテル&リゾート内レストラン「ル・ブルー・ベイ」。 マルティニーク島の出身のシェフ、マルセル・ラヴァンがチームを率いる。ホテルには400㎡の菜園があり、そこで収穫している。

菜園は、国として積極的にサポートするアーバン(都市型)ガーデンの取り組みを推奨する「テラエ(Terrae)」との共同プロジェクトで運営されている。環境に配慮したエコロジカルガーデンで、その野菜を使ったヘルシーな料理が話題だ。

シェフのマルセル・ラヴァン © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

「ル・ブルー・ベイ」内の菜園 © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

菜園で採れたての野菜を使った料理 
© MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

エコモビリティの推進

モナコでは、エコモビリティと呼ばれるサステナブルな移動を推奨した、観光客でも利用できる電気自動車や電動自転車、太陽光発電水上バス(バトービュス)などのいろいろな交通手段がある。ガスを排出する自動車に限らず複合的な交通手段の開発を通じて、効率的に人々の移動ができ、環境へのやさしさにつながるソフトモビリティの推進になっている。

電気のシェアリング自動車「Mobee」 ©Mobee-Twizy

受け継がれる、海洋と生物多様性の保護

モナコでは、生物多様性保護の重要性などをテーマにした啓発活動が、昔から常に行われている。

海洋博物館は、海洋学者でもあったアルベール1世大公によって1910年に科学と芸術に捧げる宮殿として設立された。荘厳な館内は、海や船をテーマにしてモザイクで造られ、大理石の階段や彫刻を施した円柱があり、まるで城の内部のような優美な博物館だ。

地下の水族館には、自然の生態系を再現した水槽に世界中から集められた魚が泳ぎ、海の中を散歩している気分が味わえる。

海洋博物館 ©モナコ政府観光会議局

モナコでは他にも、有資格者の専門家が同行して保護区に生息するクジラやイルカに出会えるホエール・ドルフィンウォッチングなども行っている。収益の一部が保護区に寄付されるため、アクティビティが保護活動の貢献につながっている。

地中海の新しいコミュニティ、Mareterra

2024年12月には、地中海の海岸線に、美しいモナコの新しいコミュニティ、Mareterra(マレテラ) が完成予定だ。 https://mareterra.com/en/

大規模都市開発プロジェクトが進行中のMareterra(マレテラ) 地区 ©Direction de la Communication

2013年から始まった大規模なプロジェクトであり、先進的で持続可能な建築技術を用いて開発され、将来に向けて維持されるコミュニティだ。

名前の「Mareterra」は、「海(Mare)」と「大地(Terra)」を表す二つの言葉にインスピレーションを受けている。エリアごとに分かれて、自然と人間の両方の要素を取り入れた新しい環境の街づくりが展開される予定だ。

モナコの美しい海に敬意を払って眺められる環境で、住居、文化と娯楽のエリアが予定されている。前大公であったレニエ3世とグレース公妃ゆかりのアート作品や、開放的なレクリエーションスペースをも擁する予定だ。モナコの将来を示すような、新しい姿に期待がかかる。

オーガニックのリキュール「オランジュリー」

食品廃棄物対策も、環境への取り組みの一環である。モナコは、街路樹の廃棄されていたビターオレンジから手絞りで作るリキュール「オランジュリー」事業を 2016年にスタート。オランジュリー工房の作る、甘く爽やかで風味豊かな柑橘系のオーガニックなリキュールは、カクテル、シャンパン、ソーダなどと合い、国内外で愉しまれている。

リキュール「オランジュリー」 ©L’Orangerie

 

モナコのホテルステイ 

客室の80%を4つ星、5つ星のホテルが占める、モナコのホテル。5つ星では、オテル・ド・パリ・モンテカルロ(Hôtel de Paris Monte-Carlo)、オテル・エルミタージュ・モンテカルロ(Hôtel Hermitage Monte-Carlo)、ホテル・メトロポール・モンテカルロ(Hotel Metropole Monte-Carlo)などが代表格である。

オテル・エルミタージュ・モンテカルロからの眺め © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

オテル・エルミタージュ・モンテカルロには、ヤニック・アレノによるミシュラン1つ星レストラン「パヴィヨン・モンテカルロ・ヤニック・アレノ」が誕生した。シーフード料理は海の多様性を感じるさせるメニューで、大公の宮殿と港を贅沢に一望できる美しいテラス席もお勧めだ。

シェフのヤニック・アレノ © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

「パヴィヨン・モンテカルロ・ヤニック・アレノ」 © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

1900年に創業したこのホテルは、洗練されたベル・エポック様式の美しく優雅な雰囲気を持つ、地中海を一望するホテルだ。ウェルネス&ウェルビーイングのスパ施設「テルム・マラン・ モンテカルロ」にホテル内から直接行けるのも人気のひとつだ。

プール 

ソラリウム(日光浴) 
「テルム・マラン・ モンテカルロ」 © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

4つ星のホテル、モンテカルロ・ベイ・ホテル&リゾート(Monte-Carlo Bay Hotel & Resort)には、先に紹介したミシュラン星付きレストラン「ル・ブルー・ベイ」がある。

同じく4つ星の代表格である、フェアモント・モンテカルロ(Fairmont Monte Carlo)はモナコF1グランプリでコース最大のヘアピンカーブ、フェアモントコーナーを目の前にして建つ。ここには世界的に有名なレストラン「NOBU(ノブ)」があり、ホテルのルーフトップのプールサイドでは世界的に人気のビーチクラブ「Nikki Beach(ニッキビーチ)」が毎年夏に開催され、地中海の絶景を見下ろしながら愉しめる。

モナコF1グランプリの有名なカーブ。フェアモント・モンテカルロからの眺め
©Fairmont Monte Carlo 

 

モナコの芸術鑑賞

モナコには、いつも芸術が溢れている。秋冬には、本格的な芸術の季節が始まる。

女優から先代の公妃となったグレース・ケリーは、モナコの芸術文化の発展に影響を与えた。名前を冠したモナコ王立グレースバレエ学校を設立し、彼女が亡き後は、娘の公女カロリーヌが意思を受け継いでモナコ・モンテカルロ・バレエ団を創立した。現代振付家のジャン=クリストフ・マイヨーが芸術監督を務め、日本人ダンサーの小池ミモザが同バレエ団のプリンシパルとして活躍している。 

モンテカルロ・バレエ団のプリンシパルダンサー、小池ミモザ © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

モンテカルロ・オペラ座の赤とゴールドを基調としたイタリア風様式の劇場では、数々のオペラの傑作が上演されている。芸術監督には、その音楽性と歌声で世界を熱狂させるメゾ・ソプラノの歌姫チェチリア・バルトリが、2023年1月より就任して話題となっている。

モンテカルロ・オペラ座 © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団では、世界的に人気と実力を併せ持つ日本人指揮者の山田和樹が、芸術監督兼音楽監督を務めている。オーケストラは、オペラやバレエの演奏でも活躍し、モナコに本拠地を置きながら数々の音楽祭にも参加して演奏し、高い評価を得ている。

モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 芸術監督兼音楽監督 山田和樹
© MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

モナコの夜景は、「新三大夜景」(世界夜景コンベンションビューローが認定)に選ばれている。 モナコでは、消費電力を再生エネルギーの活用に力を入れており、夜景の観光と環境保全の両立を目指している。

Apotheosa Monaca (アポテオサ モナカ)からの夜景 ©モナコ政府観光会議局

持続可能な観光地として世界をリードして多大な努力を続けながら、ラグジュアリーな滞在を実現させているモナコ。素敵な旅の時間を愉しみながら、地球にやさしい観光の体験をしてみては。

モンテカルロ・カジノ © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer

 

<Information>

“モナコ旅”の参考に!
 
モナコに関する入国規制や現地の最新情報を入手できるほか、ホテルやグルメ情報、モナコを楽しむ旅のTipsの紹介コーナーも。

日本限定 モナコ政府観光会議局ランディングページ  
公式日本版https://monacotabi.jp/

 

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
 
 

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