【会見レポート】舞台『血の婚礼』取材会&トークイベント

(左から)
杉原邦生、早見あかり、木村達成、須賀健太、安蘭けい

舞台「血の婚礼」メインビジュアル

舞台『血の婚礼』は、スペインの伝説的劇作家、フェデリコ・ガルシーア・ロルカによる官能的な名作悲劇。実際に起きた事件を元に1932年に執筆された、ロルカの三代悲劇の一作だ。一人の女をめぐり、男二人が命を懸けて闘う、愚かしいほどの愛と衝動を描く。

舞台に挑むキャストの木村達成、須賀健太、早見あかり、安蘭けいが演出家の杉原邦生とともに登壇し、都内で8月10日に取材会&トークイベントを行った。

演出家の杉原は「ご覧の通りの美しい皆さんがドロドロの悲劇を演じてくれる。この美しい人たちの汚(けが)れっぷりというか、そういうところに注目して頂けたら」と話し、続いて出演者が作品にかける思いをそれぞれに語った。

木村達成(レオナルド役)望まぬ結婚をし家族を築き、仕事に精を出しながらも“花嫁”を想い続けている

出てくるキャラクターが各々、別の欲望を持って突っ走っていきます。この作品の中で僕はレオナルドという役なのですが、唯一名前を与えられている役です。

翻訳の田尻(陽一)さんとお話しした際に、レオというのは“ライオン”で百獣の王、男の中の男であり、ガルシーア・ロルカが思い描いた理想の男性という役柄。たくましく、自分にしかないオーラを持ってこの作品を務めていきたいと思います。

須賀健太(花婿役)花嫁の過去を知らず、純粋に花嫁を愛し、同時に母親のことも深く愛している

僕の花婿という役柄が、一番親近感を湧いて頂ける役なのかな、と個人的に思っています。お客様が物語に入っていく中で、入り口になるような。ストレートに言ってしまうと、奥さんを盗られてしまう役所ですが、可哀想に見えるだけではなく、いろいろな側面から人間の欲望というものを表現したいな、と思っています。単純に可哀想な男の人にならないように、頑張ってチャレンジします。

稽古も始まり、徐々に意思疎通というか、近づいていると思っています。今日はお揃いの『血の婚礼』Tシャツでそれ以外はスタイリング自由というお題だったのですが、見事に僕だけ上着を羽織って浮いてるな、と。今少し不安なんですけれど(笑)、1か月の稽古で合わせていきたいと思います。

早見あかり(花嫁役) かつて愛したレオナルドを捨て、“花婿”を選び婚約をする

どのキャラクターもエネルギーが凄くて、愛に対しての熱量が凄い。本読みの段階なのに、稽古終わりはどっと疲れてしまう位、本当にパワーが必要な作品と思っています。

今、舞台をやることに意味があると思っています。私たちが持っている熱量を生(なま)で感じて頂きたい、この熱量をお客様に伝えられるように稽古でブラッシュアップしていきたいと思っています。とにかく体力勝負と感じているので、この夏と作品に負けないように、よく寝て、よく食べ、一生懸命稽古をしたいと思います。

安蘭けい(母親役)夫も長男も同じ一族に殺され、ただ一人残った息子に過剰な愛情を注ぐ

外の暑さに負けないくらいの、熱い、熱い、舞台を届けることができるんじゃないかな、と思っています。自分の家では「なんてセリフが多いんだ」「本当に覚えられるのだろうか」という不安を持っていました。本読みをした時にやっと、皆んながそれぞれの役の声で読んでるのを聞いて、ようやく物語が自然と自分の中にも入ってきた感じがしました。セリフの量が多いけれど、気持ちが入れば、覚えられるのではないか、と明るい兆しが見えてほっとしています。

立ち稽古が始まったらどんな風になっていくのか不安ではありますが、20代の3人のパワーを頂きながら、それ以上のパワーで母親役に挑みたいと思います。愛憎溢れる激しい舞台の中に音楽と生演奏があり、エンタテインメント的にもとても愉しめる作品なのではないかな、と演出の杉原さんに期待しているところです。

舞台「血の婚礼」安蘭けいビジュアル

記者会見後は、お客様を迎えてのトークイベントに。花婿役の須賀健太さんがMCを務め、終始なごやかな雰囲気で終了。東急百貨店渋谷本店の4階スペースに飾られる4人の等身大パネルに、公開生サインを行った。

百獣の王を意識して髪を伸ばしているという木村さん。演出の杉原さんにも色っぽくていいと褒められる

須賀健太さんのMCで進行。役にちなんで自身の母親との関係性を聞かれた須賀さんは、子役時代を支えてもらったことに感謝し、大好きな理想の母親と語った

同性から格好いいと思われる女性に憧れるという早見さん。「どうしたらカッコよくなれるんですか?」と安蘭さんに質問

早見さんの問いに「(宝塚の) 男役をやっていたから」と答える安蘭さん。共演者それぞれについて事前に調べた情報を安蘭さんが挟み、トークがさらに広がった

撮影:宮川舞子


新訳の台本で上演する、新たな「血の婚礼」。生演奏によるオリジナル音楽や歌、身体表現が融合し、“生身の人間のむき出しの熱情”が繰り広げられる舞台。公演情報はこちら。

<Information>

<東京公演>
期間:2022年9月15日(木)~10月2日(日)
会場:Bunkamura シアターコクーン
主催・企画制作:ホリプロ

お問い合わせ:ホリプロチケットセンター
03-3490-4949(平日11:00~18:00 土日祝休)

<大阪公演>
期間:2022年10月15日(土)~16日(日)
会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
主催:梅田芸術劇場/ABCテレビ
お問い合わせ:梅田芸術劇場 06-6377-3888(10:00~18:00)
https://www.umegei.com/schedule/1064/

<キャスト>
木村達成
須賀健太
早見あかり

南沢奈央
吉見一豊
内田淳子
大西多摩恵
出口稚子
皆藤空良

安蘭けい

ほか

<演奏>
古川麦
HAMA
巌裕美子

<スタッフ>
原作:フェデリコ・ガルシーア・ロルカ
翻訳:田尻陽一
演出:杉原邦生
音楽:角銅真実、古川麦

美術:トラフ建築設計事務所
照明:齋藤茂男
音響:稲住祐平(エス・シー・アライアンス)
衣裳:早川すみれ(KiKi inc.)
ヘアメイク:国府田圭
振付:長谷川風立子(プロジェクト大山)
殺陣:六本木康弘
演出助手:河合範子
舞台監督:足立充章

宣伝美術:加藤秀幸(grindhouse)
宣伝写真:伊藤元気
宣伝衣裳:TSUMORI CHISATO
宣伝スタイリング:山本亜須香(FUGAHUM)
宣伝ヘアメイク:大和田一美

公式HP= https://horipro-stage.jp/stage/chinokonrei2022/
公式Twitter @chinokonrei

 

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
 
Previous
Previous

「jizue」ピアニスト・片木希依さんが講師! mesm Tokyo×CASIO “Privia” スイートルームでのピアノレッスン付き宿泊プラン

Next
Next

新作オリジナルミュージカル『COLOR』に出演、柚希礼音が演じる「母」の愛