時代の寵児、再来日! 「レイ・チェン来日記者懇親会」レポート、11月30日にヴァイオリン・リサイタル

© John Mac

レイ・チェンは、21世紀のクラシック音楽家の定義を変えるヴァイオリニスト。ソーシャル・メディアでも影響力を持ち、現代テクノロジーを駆使しクラシック音楽を積極的に広めている。台湾で生まれ、15歳までオーストラリアで暮らし、現在は世界の名門オーケストラと共演して活躍中。今回は、2017年以来となる、待望の再来日が実現した。

11月21日には、在日オーストラリア大使館にて「レイ・チェン来日記者懇親会」が行われた。初めに、駐日オーストラリア大使館のクレア・エリアス首席公使より歓迎の言葉があり、レイ・チェン本人によるスピーチと演奏2曲が続いた。

♪演奏曲
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番から「プレリュード」
オーストラリア民謡(レイ・チェン編曲):“Walzing Matilda”

在日オーストラリア大使館にて。来日中のレイ・チェン

“Walzing Matilda” は、オーストラリアの第二の国家として親しまれている民謡。1714年製ストラディヴァリウス「ドルフィン」で演奏

 《レイ・チェンのスピーチ》

まず、私がなぜ音楽に対して情熱を持つようになったか。なぜ音楽家になりたいと思ったか、をお話します。

スズキ・メソードでヴァイオリンを学んでいた8歳の時に長野五輪に招聘され、皆で演奏したことが「プロの演奏家になりたい!」と思ったきっかけです。ホストファミリーの家に滞在し、日本の食事をして大好きになり、多くの人と出逢い、文化と芸術に触れることで、大きな感動を得ることができました。

振り返ると、いつも日本とつながっていると感じます。

 

《質疑応答》

日本財団から貸与されている1714年製ストラディヴァリウス「ドルフィン」で、日本にて初のリサイタルとなりますね。

新しい楽器というパートナーを得ました。楽器は人と人との関係と同じで、それぞれ個性があります。各パートナーと出会うことは、自分自身のことも発見をしていくという過程があります。このようなパートナーシップは経験を積んでいくと得ることがたくさんありますが、そうでないときもあります。

常にオープンでいて、色々なことに接していくことが大切と思います。新しいものを学んでいくことが自分自身の成長に繋がっていきます。

弾いていて、どのように感じますか?

今まで私が演奏してきた楽器の中で、最も個性の強い楽器です。

自分が何かしようとすると抵抗するような、反面、寄り添ってくれる感覚があります。それは今までない経験で、慣れるのに時間がかかると思いました。友人やパートナーと旅をしているのと同じ感覚です。この緊張感が高い仲だと、お互いをよく知ることができます。例えば、転んだ時にどこで助けてくれるか、などですね。

この楽器は、自分の腕を証明してみろ、と語りかけてくれるような楽器です。「そぐわない奏者はだめだぞ!」というような感覚を得た、初めての楽器。そして、とても音が力強いです。

11月30日のリサイタルプログラムについてお聞かせください。

前半はベートーヴェン(ヴァイオリン・ソナタ第8番)とストラヴィンスキー(バレエ音楽「妖精の口づけ」よりディヴェルティメント)。二人の作曲家はピアニストであったので、ピアノが主動になっています。古典的な様式です。

後半はバロック(バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番)、ロマン派(ブラームス:ハンガリー舞曲第7番と第17番)、サラサーテのツィゴイネルワイゼン、とヴァイオリンが主動の作品がならびます。前半、後半で対比させています。

コントラストを描き、異なる様な音楽を合わせることが面白いのではないかな。いつも興味深い音の世界を生み出したいです。

自身のデザインした世界地図が描かれたヴァイオリンケースを持って

スピーチ・質疑応答(公式より一部抜粋)
提供:ジャパン・アーツ

レイ・チェンからのメッセージ

11月23日から始まっている日本公演のNHK交響楽団との共演を終えて、30日は東京オペラシティ コンサートホールでリサイタルを行う。巨匠ベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ」、ストラヴィンスキーのバレエ音楽、バッハのバロック、ブラームスの「ハンガリー舞曲」、情熱的なサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」が一夜にして聴け、レイ・チェンのヴァイオリンの魅力が存分に堪能できるコンサートだ。

<Information>

レイ・チェン ヴァイオリン・リサイタル 2022

日程:2022年11月30日(水) 19:00開演
会場:東京オペラシティ コンサートホール
出演:レイ・チェン(ヴァイオリン)、フリオ・エリザルデ(ピアノ)

チケット情報、詳細
https://www.japanarts.co.jp/concert/p974/

 

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
 
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