【レポート】新国立劇場 2023 / 2024シーズン ラインアップ説明会

(左より)小川絵梨子 演劇芸術監督、大野和士 オペラ芸術監督、吉田都 舞踊芸術監督

2023年3月7日に「新国立劇場2023/2024シーズン ラインアップ説明会」が開催され、次シーズンの演目が発表になった。オペラ芸術監督の大野和士、舞踊芸術監督の吉田都、演劇芸術監督の小川絵梨子が登壇して説明をし、作品の見どころや注目のポイントを語った。

(*以下、抜粋)

 

2023/2024シーズン バレエ&ダンス

舞踊芸術監督 吉田都

「新国立劇場バレエ団は今とても充実しています。それは、これまで発展に尽力してくださった歴代の芸術監督のおかげです。来シーズンは、歴代の芸術監督へのオマージュを込め、開場25周年を迎えたバレエ団の集大成となるラインアップにいたしました」

「初代芸術監督の島田廣先生によってレパートリー化された『ドン・キホーテ』の上演で、華やかにシーズンをスタートします。大原永子前芸術監督が新制作された『ホフマン物語』はご自身も3人のヒロインを踊られた経験があり、ぜひ直接のご指導を願っております。牧阿佐美元芸術監督が新国立劇場で初めて改訂振付された『ラ・バヤデール』は、古典の様式美をお見せするプロダクションです。『アラジン』はデヴィッド・ビントレー元芸術監督が新国立劇場のために振り付けたオリジナルの作品で、大人から子どもまで楽しめめます。振付家が直接ダンサーに指導するのは、とても刺激になるので、教えにいらしていただけることを願っています」

「ダンサーが自ら振り付ける人気企画の新しい試みで、若手ダンサーが古典バレエの主役級の踊りに挑戦する『DANCE to the Future: Young NBJ GALA』も予定しています」

「2月の終わりに、『コッペリア』の舞台が終了しました。前回は無観客の上演で客席がしーんと静まっていたので、今回は本当に沢山のお客様が観にきてくださる中での公演で、胸がいっぱいになりました。本当に皆様の支えのおかげでここまで何とか辿り着けたと、振り返って実感し、この場を借りて感謝申し上げたいと思います」

(会見後の懇親会にて)
「どれだけ本公演で舞台に立つか、本番の舞台が経験になります。若手ダンサーには、踊りだけではない、立ち振る舞いといった、積み重ねをしないと自然にできるものではない色んなことを学んで欲しいと思っています。役柄をもっと考えて研究して、どうすればお客様に伝わるのか。もっと貪欲に、バレエ団のダンサーには、色々な経験から吸収してほしいと願っています」

 

2023/2024シーズン オペラ
オペラ芸術監督 大野和士

「今年のラインアップを改めて見ると、僕が若い頃に触れ、初めて経験したオペラが沢山入っているな、という印象です。『修道女アンジェリカ』はミュンヘンに留学していた時に指揮をしたオペラ、『シモン・ボッカネグラ』は大学1年生の時に先輩に言われてピアノで重唱を弾いた作品、『エウゲニ・オネーギン』はロシア語で初めて聴いたオペラ、『椿姫』は10歳くらいの時に初めて観たオペラです」

「13年振りに、ワーグナー作曲『トリスタンとイゾルデ』が再演されます。イゾルデ役は、世界を席巻するエヴァ=マリア・ヴェストブルックがいよいよ新国立劇場に初登場します。他にも凄いワーグナー歌手が揃います。『コジ・ファン・トゥッテ』は、フィオルディリージ役はドンナ・アンナ役などで知られるセレーナ・ガンベローニ、ドラベッラ役はオルロフスキー侯爵が当たり役のダニエラ・ピーニ、そこにデスピーナ役の九嶋香奈枝がどう加わるか、3人の歌手の違いに注目です。『トスカ』には、巨匠ムーティやマゼールといった指揮者に認められキャリアを築いた実力派、ジョイス・エル=コーリーが登場します」

 

2023/2024シーズン 演劇
演劇芸術監督 小川絵梨子

「2023/2024シーズンの幕開けは、シェイクスピアの『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』の上演となります。12月の「東京ローズ」は、フルオーディション企画初となるミュージカル作品。2019年イギリスで初演されたばかりの、ロンドンの若いクリエーターたちによる、みずみずしい作品です。4月から7月にかけては、10つの中編で構成され、「デカローグ I~X」が上演されます。ポーランド出身の世界的映画監督・クシシュトフ・キェシロフスキが発表した代表作のひとつ『デカローグ』の十篇の物語を完全舞台化します」

(質疑応答にて)
「劇場は公演をするだけの場所ではなく、創作やトライする場であり、『ここに来れば文化がある』と思ってもらえるような身近に思える場所にできればいいな、と現在は思っています」

<Information>

■ 新国立劇場
https://www.nntt.jac.go.jp/

ラインアップはこちら

 

text by STARRing MAGAZINE編集部

 
 
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