【稽古場レポート】開幕まで1か月! ミュージカル『キングアーサー』歌唱シーン披露 

2023年1月に開幕するミュージカル『キングアーサー』。12月13日には、稽古場より公開歌唱シーン披露が行われた。開幕まであと1か月、熱気溢れるまさに制作段階の稽古場から7曲の披露となり、メインキャストがドラマティックな音楽にのせて物語を届けた。

主人公アーサーを演じるのは、浦井健治。最強の騎士として評されアーサーの敵として立ちはだかるメレアガンに伊礼彼方/加藤和樹(Wキャスト)、アーサーに忠誠を誓うが恋敵となるランスロットに太田基裕/平間壮一(Wキャスト)、アーサーの妻グィネヴィアには小南満佑子/宮澤佐江(Wキャスト)、アーサーの甥ガウェインに小林亮太、アーサーの兄ケイに東山光明、アーサーに仕え王に導く魔術師マーリンに石川禅、アーサーの異父姉で魔術を使い復讐するモルガンを安蘭けいが演じる。

浦井健治 ♪アーサーの誓い

出演者
浦井健治、伊礼彼方、加藤和樹、太田基裕、平間壮一、小南満佑子、宮澤佐江、小林亮太、東山光明、安蘭けい、石川禅ほか アンサンブル

稽古場歌唱シーン 披露ナンバー
キャスト本人によるコメントと稽古場写真

♪奪われた光
出演:伊礼彼方、アンサンブル

グィネビアと婚約していたが、王座も婚約者もアーサーに奪われ怒りに燃えるメレアガンの伊礼彼方は、8月のプレイベント(製作会見)からシャウトもさらにパワーアップして高音連発の難曲を歌い上げた。

伊礼彼方
「初のフレンチロック。想像以上に1曲1曲の個性が強く、独特で、どの曲もシングルカット出来るくらい遜色のないクオリティー。数人の作曲家が関わっているのにもかかわらず、良くこれを一本の芝居にまとめたなぁと感心しました。メレアガンはほとんど台詞がないので音楽の力と殺陣を使って心情を伝えられるように心がけています。どこまで伝えられるのかまだ手探りですが、限られた時間の中、色々チャレンジし、役を掘り下げて初日を迎えられるように精進します。ファンの方やお客さまと年明け早々に会えるのが嬉しいです。今から待ち遠しい!!! メインキャスト以外のカンパニーのみんなも一人一人の技量が高く、観ていて毎回惚れ惚れする。彼らが作り出す世界観と僕らの芝居が合わさった時、初めて日本版キングアーサーが生まれます。存分に楽しんでください。お見逃しなく!!」

♪私は誰なのか
出演:浦井健治、石川禅、アンサンブル

浦井健治のアーサーが王になるまでの憂いと悩みを繊細に、アーサーを真の王へと導く石川禅が艶のある声で、二人ともに叙情的に歌った。

浦井健治
「作品のテーマである、選択。今の世の中、選択することを余儀なくされることも多く、自分自身、日常的に責任をもって行動することと、良いこと悪いことを間違えないように選択することの大切さを今まで以上に感じている日々です。それでも抗いたい。。というアーサーたちの、運命や選択を超えた想いなどが、時代への願いに変換されて込められているような今作。過去、シェイクスピア歴史劇シリーズに携わっていた時と同じ流れを感じています。王とは、血筋とは。そして、いつの時代にも通ずる人間の業というものに立ち向かう、純粋なアーサーを演じていきたいと思います!」

石川禅
「『ああ、ほら、エクスカリバーを岩から引き抜いた人でしょ?』『あ、円卓の騎士を作った人?』『あれ? エクスカリバーってRPGの主人公が持てる武器によく出てくるヤツ?』(笑)アーサー王のことを聞かれると、おしまいに「?」マークが付くほど、知らないことばかりでした。未だに実在したかどうか議論される人物なのに、海外ではアーサー王にまつわる映画が40作品以上制作されているそうです。何故そんなに支持されるのか?僕はこの作品に取り組んでその理由が段々わかってきたところです。一緒にアーサーの背負った『運命』を追体験してみませんか? 劇場でお待ち申し上げております」

♪報いを受けなさい
出演:浦井健治、小南満佑子、安蘭けい、アンサンブル

アーサーの異父姉で魔術を使うモルガンの安蘭けいは、強さと妖しさの両面の凄さを放って格好よく、「♪報いを受けなさい」をセンターで歌い踊って、この演出特有の振付やポーズをキメるのが魅力的だった。

安蘭けい
「演出のオ・ルピナさんに明確なビジョンが見えているので、信頼して安心して、いい稽古ができていると思います。モルガン役に関しては、求められるキャラクターのイメージをいかに自分に落とし込んで演じるかが課題になってくると思います。お客様に楽しんで頂ける作品になるようにカンパニーみんなで頑張ります!」

♪約束
出演:浦井健治、平間壮一、宮澤佐江、小林亮太、アンサンブル

アーサーと恋に落ちるグィネヴィアの宮澤佐江、アーサーに忠誠を誓う騎士ランスロットの平間壮一が運命に翻弄されるドラマを担い、「♪約束」で緊張感があり重みのある場面を見せた。ガウェイン役の小林亮太は続く「♪アーサーの誓い」にも参加した。

平間壮一
「これからの残りの稽古も一生懸命向き合って、初日まで頑張っていこうと思っています。キングアーサーを好きな人が沢山いる事もわかって、それぞれの好きなポイントも全然違ったりしていて、アーサー伝説のように色々な捉え方がある作品だからこそ自分の軸もしっかり置きつつ、幅広い世代の方に楽しんでいただけるように頑張っていきます! 劇場でお待ちしております」 

宮澤佐江
「グィネヴィア役を演じます、宮澤佐江です。数年前、この作品の出演のお話を頂いて以来頭の片隅にキングアーサーが常に存在していました。自分の人生のこのタイミングでこの作品に出演できる事、そしてそれを自らが選択した事、絶対に何か意味があると思っています。私にとってこの作品への出演は大きなチャレンジです。日々のお稽古の中でまだまだ自分への課題は山積みですが、必ず自信を持って舞台上でグィネヴィアとして生きます。素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんと心を一つにして日本ならではのミュージカル『キングアーサー』を創りあげたいと思います。楽しみにしていてください」

小林亮太
「台本に書かれた言葉が、稽古で少しずつ具現化されてきました。想像していた以上に、壮大で、華やかで。しかし、アーサーがいたであろう時代を生きようとするのはなかなか難しいです。その中でも、(浦井)健治さんの生きるアーサーは生命力に溢れていて、とても力強く…日々、掬い上げてもらっています。王の成長を見守る者として、ガウェインの在り方を、残りの稽古期間、模索していきたいと思います」

♪アーサーの誓い
出演:浦井健治、太田基裕、小林亮太、東山光明、石川禅、アンサンブル

浦井は、後半の「♪アーサーの誓い」では民に選ばれるべく王としての覚悟を、アンサンブルと共にエネルギッシュに歌い演じ、本作品の中で静と動の魅力を見せた。アーサーの甥で最後までアーサーに忠誠を誓い側近としてアーサーと共に歩むガウェインを小林亮太、アーサーの兄で執事として仕えるケイの東山光明が演じてアーサーを脇から支える。

東山光明
「1幕を通し、今は2幕のお稽古真っ只中ですが、戦闘シーンなどド派手なナンバーから心に響くナンバーまでエンタメ要素が豊富な作品だと強く思います。登場人物の中ではある意味浮いたキャラのケイですが、これからも真剣に彼の生き様を突き詰めていきたいです。カンパニーウェアも届き、これを着て、さらに一丸となって初日目指して頑張ります! 2023年の新年幕開けとなる『キングアーサー』を大成功させていきますので、応援よろしくお願いします!!」 

♪愛じゃないみたいに
出演:太田基裕、小南満佑子

忠誠を近いながらもアーサーの恋敵となるランスロットの平間壮一とグィネヴィアの小南満佑子は、どうしようもなくお互い惹かれる心情を息の合ったデュエットで聴かせた。

太田基裕
「ランスロット役の太田基裕です。まだまだこれから稽古を積む段階ですので、見えていない部分ばかりですが、お客様に楽しんでいただける様に稽古していきたいと思っています。来年の幕開けに相応しい豪華なエンターテイメント作品になるかと思いますので、ぜひ楽しみにしていただけると幸いです。元気な姿で、劇場でお会いしましょう!」

小南満佑子
「グィネヴィア役の小南満佑子です。フランス、韓国で上演され、多くの方に愛されている作品に、グィネヴィアとして出演させて頂けること、そして韓国公演の演出をなさったルピナさんの熱いご指導のもと、連日充実したお稽古に大変喜びを感じながら奮闘しております。人生は選択の連続だと言われますが、そんな重大な選択を迫られた時に、人はどういった感情を持ち、行動するのか。グィネヴィアの選ぶ道を丁寧に描いていけるよう、全身全霊で挑んで参ります。2023年の幕開けに相応しい豪華な今作を是非ご期待下さい!」

♪誓いなさい
出演:加藤和樹、安蘭けい、アンサンブル

宝塚歌劇団の上演(『アーサー王伝説』)でも歌われ通称ダンダリと呼ばれた人気曲。アクロバットダンスも入った、今回のショーアップされた演出で聴ける。モルガンの安蘭けいとともに、最強の騎士メレアガンを演じる加藤和樹が登場。クールで冷徹、迫力のある悪の魅力を放った。本作品ならではの悪役陣のパフォーマンスにも注目!

加藤和樹
「日を重ねるごとに形になっていく様子を目の当たりにして、ワクワクしています。ルピナさんの演出は我々をしっかり正しき方向へ導いてくれます。一つ一つのシーン、それぞれの役の感情が芝居、歌を通してビンビンに伝わってきます。ここから更に良い方向へ進んでいくと思います。ご期待ください」


数々のヒット作を生み出しているドーヴ・アチアが音楽・脚本・歌詞を手掛けたフレンチミュージカルの日本版。アチア氏の手掛ける作品は、日本でも『1789〜バスティーユの恋人たち~』や『太陽王』など多くのファンがおり、本国フランス版は、2015年9月にパリにて世界初演、非常に大がかりなスペクタクルミュージカルとして上演。日本版の演出を手掛けるのは、『デスノートTHE MUSICAL』韓国プロダクションにて、2015年・2017年に演出捕として携わり、2020年には韓国ミュージカル界最高峰のミュージカルアワードにて演出賞を受賞、今、韓国演劇界で最も注目される新進気鋭の演出家オ・ルピナが氏を迎え、クリエイター陣には日本演劇界の錚々たる顔ぶれが集結。

演出家オ・ルピナ

さすがの大作感、華やかでありながらドラマの重厚さが伝わってきた稽古場。1曲1曲にドラマがあり、感情をセリフに乗せて歌うそれぞれのキャラクターが印象に残った。大人数のダンスフォーメーション、アンサンブルのダンサーのアクロバットも凄く、見応えがある。作品の振付は、KAORIalive。

本日の抜粋だけでも各キャラクターの必見ポイントが見つかり、観客自身が自分の好きな場面の為にリピートしたくなるような作品だ。

物語の中心は、浦井健治が演じる主人公アーサー。稽古前にご本人が語った「キラキラしながらもストーリーは骨太」「ノリが良く入り込み易い『かっこいいな』という曲」という想像の舞台が、それ以上の形で目の前に。さらに、本番では衣裳も舞台装置も加わり、マスクにも遮られない、全員の歌声が今から愉しみだ。

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全キャスト集合

写真/キャストコメント オフィシャル提供

撮影:田中亜紀
主催・企画制作:ホリプロ

<Information>

ミュージカル『キングアーサー』

<キャスト>

アーサー:浦井健治
メレアガン:伊礼彼方/加藤和樹 (Wキャスト/五十音順)
ランスロット:太田基裕/平間壮一 (Wキャスト/五十音順)
グィネヴィア:小南満佑子/宮澤佐江 (Wキャスト/五十音順)
ガウェイン:小林亮太
ケイ:東山光明
マーリン:石川禅
モルガン:安蘭けい

碓井菜央 加賀谷真聡 工藤広夢 当銀大輔 長澤風海・加藤翔多郎 長澤仙明 半山ゆきの・新井智貴 大井新生 大場陽介 岡田治己 加藤さや香 鹿糠友和 鈴木百花 高島洋樹 高橋伊久磨 高橋慈生 田口恵那 東間一貴 内木克洋長嶋拓也 永松樹 西尾真由子 花岡麻里名 藤本真凜 MAOTO 松平和希

(五十音順)

<スタッフ>

日本版台本・演出:オ・ルピナ

翻訳・訳詞:高橋亜子
音楽監督:竹内聡
振付:KAORIalive
美術:二村周作
照明:高見和義
音響:山本浩一
映像:上田大樹
衣裳:前田文子
ヘアメイク:宮内宏明
擬闘:栗原直樹
エレクトロニックミュージックデザイン:ヒロ・イイダ
歌唱指導:やまぐちあきこ
演出助手:河合範子
舞台監督:徳永泰子
稽古ピアノ:中條純子
演出家通訳/台本下訳:キム・テイ

<東京公演>
期間:2023年1月12日(木)~2月5日(日)
会場:新国立劇場 中劇場
主催・企画制作:ホリプロ

 <群馬公演>
期間:2023年2月11日(土・祝)~12日(日)
会場:高崎芸術劇場 大劇場
主催: 高崎芸術劇場(公益財団法人高崎財団)

<兵庫公演>
期間:2023年2月24日(金)~26日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター  KOBELCO大ホール
主催:梅田芸術劇場/兵庫県、兵庫県立芸術文化センター

<愛知公演>
期間:2023年3月4日(土)~5日(日)
会場:刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール
主催:キョードー東海

東京公演・ツアー公演のプリンシパルキャスト出演スケジュール、
最新のお知らせは公式HPまで。

公式HP
https://horipro-stage.jp/stage/kingarthur2023/

 

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
 
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