【会見レポート】ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』在日カナダ大使館にて製作発表!

場所:カナダ大使館

(左から)
2列目:石川禅、浦井健治、加藤和樹、田代万里生、橋本さとし、吉原光夫
1列目:安蘭けい、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、濱田めぐみ、森公美子、柚希礼音

 

ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』の製作発表記者会見が、日本初演開幕に先立ち、在日カナダ大使館にて1月30日に開催された。

本作品は、12人の出演者のみで100人近くの役を次々に演じ、ドラマが交錯。数々の演劇賞を受賞した、濃密な100分間の舞台だ。2001年9月11日の同時多発テロの裏で、カナダにある小さな町・ニューファンドランド島のガンダーで起きた驚くべき実際に起こった話を基にしている。

奇跡の実話を題材にしたブロードウェイミュージカルの日本初演に、奇跡のようなキャスト陣が集結。笑いあり、涙あり、作品への真摯な思い、他者を気遣う優しさ、作品に懸命に取り組むパワフルさ、愉快な稽古場エピソード… 心境や意気込みなどを語る12名のキャストの個性を感じさせるコメントや雰囲気が、すでにドラマ性に満ちていて、まるで舞台の一端が窺えるような製作発表だった。

【登壇者】(五十音順)
安蘭けい、石川禅、浦井健治、加藤和樹、咲妃みゆ、シルビア·グラブ、田代万里生、橋本さとし、濱田めぐみ、森公美子、柚希礼音、吉原光夫

〈写真ギャラリー〉
別公演の本番を終えて稽古に遅れて参加したという加藤さんが「仲間に入れてくださいよ!」と思わず立ち上がり会場が笑いに包まれた瞬間や、感極まり泣き笑いの森さんの隣にいた濱田さんと柚希さんはじめ、キャストが優しく見守る場面も。町長役の橋本さん先導のもと「Welcome to The Rock!」と最後は声をあげて足を踏み鳴らし、製作発表記者会見が終了!

撮影:STARRing MAGAZINE ©︎Lisa Mogami

カナダ大使館代表挨拶 首席公使 デボラ・ポール

 

*コメント抜粋

安蘭けい
「本日このような大使館で製作発表できることを嬉しく思っています。厳粛な気持ちでいますが、(当日は抽選で選ばれたオーディエンスも会見参加)緊張なさらず聞いてもらいたいと思っています。(緊張しているのは)私たちですね(一同笑)。ブロードウェイで本作を観てとても感動して、日本で上演できる機会があったらぜひ出演させていただきたいと思っていたので本当に嬉しく思っています。私はダイアンというテキサス人女性をメインに、ニューファンドランド島の住民たち複数人の役を演じるのですが、それぞれ違う役だとわかるように声色を変えるなど色々と挑戦しています。今はやりすぎているくらいなので(笑)、話の本筋に気を付けながら役の違いを出していきたいと思います」

石川禅
「とてつもない作品に出演させていただけることに感謝しております。この作品は、セットの椅子とテーブルの転換を役者が全員で行うというシンプルな舞台です。椅子のデザインはひとつひとつ違っていて、まるで国籍の違う人々が飛行機に乗り合わせたように人々の人種の違いを表しているようでもあり、12名の個性豊かなキャストを表しているようでもあります。バラバラな椅子から舞台上に一機の飛行機が出現する様子は、まさに素晴らしい、魔術です。このメンバーが一つの旅客機を作り上げて、無事テイクオフしていくことを皆さんどうぞ祈っていていただければと思います」

浦井健治
「色々な意味で豊かな稽古場です。個性も豊かで、差し入れも豊かで…(笑)。各国で上演されてきた作品を日本のキャストで初めて上演させていただくのですが、我々の感覚や個性を尊重しながら作っていくこと、その一個一個の積み重ねが、試行錯誤する過程がなんて豊かなんだろうと思います。演劇は、人生もそうですが、答えそのものよりそこに向かう時間が尊いと感じます。この12人とスタンバイキャスト4人を含めた16人で一緒にやれていることが幸せだなと思います」

加藤和樹

「先日まで別の公演に出演していて実は皆さんほど稽古場のことを知らないのですが…(笑)。二度とこのキャストでは再演できないだろう、というくらい、本当に活躍されている方ばかりですし、一人一人の力が一つになった時にどのくらいのエネルギーが出るんだろうと思っています。その凄さが良い感じに伝播していくと、作品が持っている力と、ここにいる日本を代表するようなキャストの皆さんのエネルギーが相乗効果となって、とんでもない爆発力を生み出すのではないかと思います」

咲妃みゆ「悲しみ一色だと思っていた出来事のそばで、こんなに温かみの溢れることが実際起こっていたんだ、と言うことを知り、この作品に関わらせていただくことでより一層の感動を覚えました。大きな悲しみ、苦しみ、憎しみを生み出してしまったのは人であって、それでもそれを解きほぐしたのもまさしく人であった、というのがこの物語の注目のポイントだと思います。たくさんの方が傷つき、戸惑い、そんな中でたくさんの人が寝る間を惜しんで手を差し伸べました。遠い国で起こった出来事ということではなく、どの場所もどの国も、ニューファンドランド島になり得るんだということを思ってご覧いただければと思います」 

インタビューはこちら
9月11日に起きた実話を基にしたストーリー、日本初演のブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』に咲妃みゆが出演

シルビア・グラブ「ブロードウェイで観て、本当に素晴らしかったんです。元々前知識なく観に行ったのですが、オープニングの曲を聴いた途端、その曲や足を鳴らす地響きに心臓の鼓動が高まり、舞台上にいる人間が一緒に創り上げている様子にワクワクしました。この題材をこれだけ愛のある舞台にしていることに感動して、もし日本で上演することがあったら絶対参加したいと思いました。ニューファンドランド島の人々が力を合わせてCome from aways (遠くからきた人々、の意)に手を差し伸べて助け合ったように私たちも舞台上で助け合って乗り切りたいと思います」

田代万里生「自分の役をはじめ、この作品に登場するほとんどの役は、現在実在する方をモデルに実名で演じさせていただいていて、本当に光栄に思います。この題材を、演出補のダニエルさんが『この作品は9.11ではなく9.12を描いた作品だ』とおっしゃっていました。全員で全幕の本読みをした後に語り合ってすぐに思い浮かんだのは、9.11はもちろん3.11の東北の地震、先日の能登地震やその後の飛行機事故のことでした。どうやって立ち上がろう、支え合おう、と思い返すことができ、僕たちもいつでもガンダーの人たちのような気持ちになれる作品だと思っています」

橋本さとし「めっちゃ大変です(笑)。稽古場に本番さながらの回転するセットが組まれているのですが、ステージ上にバミリ(立ち位置を表す目印)が満天の星空のように貼られていて、これは大変なことになるという予感がしました。信頼のおけるいろんなキャリアを積んできたミュージカル界の、演劇界の超人たちに期待していましたが、意外とみんなパニックになったり迷子になったりしていて『みんな普通の人なんだ』と、ちょっと安心しました。稽古場は恥のかき捨てなので、お客様の前に立った時は、恥ずかしくないものを見せようと。みんなで素敵なガンダーの町を表現できたらと思います」

濱田めぐみ「私の演じるビバリーはアメリカンエアライン初の女性パイロットの役です。飛行機のシーンでは、個性豊かで芯のあるとびきりの役者さんたちを、機長でまとめるんだな、と思って稽古をしています。カンパニー内では可愛らしい部分もお持ちの先輩方が沢山いらして(笑)、幸せだなあと思ってやっています。人が人を癒し、愛を持って復興していくことが形として描かれています。日本の方が観ても、誰もが共感できるものを受け取って、持って帰ることができる作品だと思います」

森公美子「マンハッタンの消防士である息子を亡くした母、ハンナをメインに演じます。喉が詰まって歌えなくなった時に、この役はそうではなくポジティブに演じる役だと演出家にも教えられて気付かされました。演じる役柄が複数あるので、今日も稽古があるんですけど…『あのシーン、私ハンナですか?』『島の人ですよね?』と、毎日確認しながら、そういう感じで進んでいます(笑)。主役ばっかりやっている皆さんが集まっているのでギクシャクしちゃうかなと思ったのですが(笑)、本当に楽しい稽古場になっています」

柚希礼音「コミュニティセンターの会長・ビューラという、ニューファンドランド地元代表のおばちゃんという感じの役をやらせていただくのですが、自分がこんなに凄いメンバーを仕切ったりできるんだろうかと稽古が始まる前も今もドキドキしています。本当に皆さんが助けて教えて下さったりしながら、一歩ずつやっています。この出来事を取材したドキュメンタリーをもう一度見直したのですが、最後に町長さんが『人の優しさはどんな悲劇でも乗り越える』とおっしゃっていました。全てを癒すことはできなくても、人が人を癒す、人の優しさで癒されることもあるんだということを大切に演じていきたいです」

吉原光夫「製作発表でこんな素敵なホールに来ることができて、本当によかったな、と思っています(笑)。先ほど(森)公美(子)さんが『私、誰?』『私はどこにいるの?』とおっしゃっていましたが、自分の位置や誰の役を演じているのか、分からなくなるということが起きています。稽古場の笑い話ですが、この作品の意図なのでは、とも思えます。自分が誰で、どこにいるのか、誰かが亡くなったことで自分がなぜ生きているのか分からなくなることがあると思います。そんな時にガンダーの人々が、当たり前に無条件に人を受け入れ寄り添ってくれて『あなたはここにいる』と手を差し伸べ、簡単に思いを引き受けてくれた、という実話が凄いな、と思います。日常でも自分たちの居場所を失うことがあるけれど、自分の居場所は必ずある、とニュートラルに戻してくれる作品だと思います。今は稽古場も混乱していますが、初日には安定してフライトするので(笑)、ぜひ皆さんにも乗っていただきたいと思います。愛のある最高のメンバーです。お祭りごとでやるのではなく、このメンバーが繋がって必死に命削ってやっている本当にいい稽古場なので、是非楽しみにしてください」


咲妃みゆ ©︎Lisa Mogami

<Information>

ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』

【東京公演】
期間:2024年3月7日(木)~29日(金)
会場:日生劇場
*大阪、愛知、福岡、熊本、ほかツアー公演あり

公式ホームページ
https://horipro-stage.jp/stage/comefromaway2024/

脚本・音楽・歌詞:アイリーン・サンコフ/デイヴィット・ヘイン
演出:クリストファー・アシュリー
ミュージカルステージング:ケリー・ディヴァイン

翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
音楽監督:甲斐正人

出演
安蘭けい
石川禅
浦井健治
加藤和樹
咲妃みゆ
シルビア・グラブ
田代万里生
橋本さとし
濱田めぐみ
森公美子
柚希礼音
吉原光夫

スタンバイ:
上條駿
栗山絵美
湊陽奈
安福毅

(五十音順)

主催・企画制作:ホリプロ
後援:カナダ大使館

 

text by STARRing MAGAZINE 編集部

 

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