開幕直前! 東京二期会オペラ劇場 プッチーニ『蝶々夫人』タイトルロールのソプラノ大村博美にインタビュー

2019年東京ワールドプレミエ公演より 
© 三枝近志

 

東京二期会は、オペラ『蝶々夫人』を、 2024年7月18日から21日までの4日間、東京文化会館大ホールにおいて上演する。このプロダクションは、2019年東京でワールドプレミエ公演を行い、その後、ザクセン州立歌劇場(ゼンパーオーパー・ドレスデン)、サンフランシスコ歌劇場での公演を経て7月、東京に凱旋する。演出は宮本亞門、髙田賢三の生涯最後の作品となったオペラ衣裳デザインが舞台を彩る。

再演となる今回の指揮を務めるのは、ダン・エッティンガー。マエストロによる、歌手陣とオーケストラ合わせの音楽稽古がリハーサル室で行われた。マエストロのタクトが、魔法のように豊かなプッチーニの音楽を引き出すのを感じた。時折ユーモアを混ぜ、全員に緊張感を与えないリラックスした雰囲気でありながら、圧倒的な音楽作りを目の当たりにした。作品の音楽が、現実感あるドラマとして迫ってくる。

いよいよ開幕が迫った公演を前に、世界各国でタイトルロールの蝶々夫人を歌い、本プロダクションでも初演の舞台を成功に導いた大村博美にインタビューした。マエストロとの音楽リハーサルの様子、開幕直前の7月凱旋公演についてお話を伺った。

 

【SPECIAL INTERVIEW】
大村博美(蝶々夫人)

 

自由で理想的、指揮者ダン・エッティンガーが紡ぐ音楽

自由に楽しい音楽を作る、マエストロのリハーサルは私の理想でもあり、とても新鮮に感じています。ダン・エッティンガーさんとは、以前に2007年のコンサートで共演があります。今回、私からお声がけをしようと思ったら、マエストロの方から「僕のこと憶えている?」と先におっしゃっていただきました。大変嬉しかったですね。

私は、2004年にフランスで初めて、蝶々夫人の役を歌いました。その時の演出で、子どもが一生懸命遊んでいるように歌って欲しい、純粋な子どもたちが恋に落ちる話だ、と言われたことがずっと記憶にあって、私の歌い演じる蝶々夫人はそれがベースになっている気がします。その伸び伸びとした自由な感覚そのままを、音楽で表現されていらっしゃるマエストロの音楽は私にとって理想的です。

まるで映画のように、音楽が時にユーモアを含むこともあるし、場面によって色々な感情が色彩になって変化するということをマエストロは大事にされています。私も「本当にその通り!」と思うんです。プッチーニの音楽は一色だけではなく、目まぐるしく変わる感情を表現として出し分けることにより面白みが出て、それこそがプッチーニの音楽だと感じています。マエストロはジェスチャーも交え、旋律のメインとなる楽器の抜き稽古なども行うこともありながら、こだわって密に音楽作りを進めていらっしゃいます。こんな感じ、というリクエストを、演奏するアーティストの自由度に任せながら、自由に遊んでいる感覚です。私自身もジャズやロックが大好きなのですが、マエストロも良い演奏をする音楽は決して退屈なものではない、とクラシック以外のジャンルにも関心があり、お好きなようです。だから、クラシック音楽に馴染みのない方々が聴いても、ああ素敵、と思うような変化に満ちている音楽作りにとても共感しています。マエストロは、指揮者をされる前にバリトン歌手として舞台に立った経験をお持ちで、一音におけるピッチ(音高)に関しても大変敏感です。勉強だけではなく、実際に歌われていた経験が活きていらっしゃると想像します。

純愛を描く『蝶々夫人』

凱旋公演では、ピンカートンが本気で蝶々夫人を好きになって愛した純愛の物語として描きたい、という強いご希望を演出の宮本亞門さん自身から伺いました。私が組ませていただくピンカートン役を歌うテノール歌手の城宏憲(じょう・ひろのり)さんは、『蝶々夫人』でご一緒するのは初めてなのですが、これまで何度も舞台で共演しています。真摯な声の印象と役作りは、とてもぴったりだと思っています。

私自身は、 昨年3月にニューオーリンズ・オペラのプロダクションで歌った時の演出で、最後に蝶々夫人が自害しないエンディングを経験しました。劇中劇の設定の演出で、最後に刀を投げ捨て、鬘(かつら)も投げ捨てて、歌手の自分に戻って子どもと一緒に去る、という斬新な演出でしたが客席は拍手喝采でした。もちろんオーソドックスな演出も数多く経験してきましたが、時代によって演出も色々変わっていくということを感じました。

今回のプロダクションは、世界での上演を経て、初演の前回とは違った『蝶々夫人』をご覧いただけると思います。

2019年東京ワールドプレミエ公演より 
© 三枝近志

世界に誇る衣裳デザイン

これからのドレスリハーサルや本番で衣裳を着ると、在りし日の髙田賢三さんのことを、色々ときっと思い出します。各国で蝶々さんを歌ってきましたが、賢三さんの作られた気品がありながら可愛らしさを表現した衣裳というのは、本当に貴重です。日本人に流れる血を大切に、日本の良さを尊重しながらデザインをされる素晴らしい方で、しかも世界に誇るグローバルな活躍をされました。その良さが結集して作られた衣裳の数々を、皆さんにも舞台で楽しんで頂きたいと思います。

 

舞台には、実力派の歌手たちが揃うダブルキャストが集結。世界各国の舞台で蝶々夫人を歌い、本作品においても初演から作品成功の立役者を担ったソプラノ大村博美さんは、初日を含め7/18と7/20に出演する。詳細は、下記の公式サイトまで。この機会をお見逃しなく!

<Information>

ザクセン州立歌劇場(ゼンパーオーパー・ドレスデン)、デンマーク王立歌劇場およびサンフランシスコ歌劇場との共同制作公演

東京二期会オペラ劇場
プッチーニ『蝶々夫人』
オペラ全3幕 日本語及び英語字幕付き原語(イタリア語)上演

日時:2024年7月18日(木)18:30、19日(金)14:00、20日(土)14:00、21日(日)14:00
会場:東京文化会館 大ホール

指揮:ダン・エッティンガー
演出:宮本亞門
衣裳:髙田賢三

配役の出演日程は、東京二期会 公式サイトまで
https://nikikai.jp/lineup/butterfly2024/

 

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE 編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
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