50年ぶりの大キュビスム展、日本初出品50点以上!「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」

ロベール・ドローネー《パリ市》 1910-1912年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Achat de l’ État, 1936. Attribution, 1937)
© Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP

20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという2人の芸術家によって生み出されたキュビスムは、西洋美術の歴史にかつてないほど大きな変革をもたらした。

その名称は、1908年にブラックの風景画が「キューブ(立方体)」と評されたことに由来する。西洋絵画の伝統的な技法であった遠近法や陰影法による三次元的な空間表現から脱却し、幾何学的に平面化された形によって画面を構成する試みは、絵画を現実の再現とみなすルネサンス以来の捉え方から解放した。また絵画や彫刻の表現を根本から変えることによって、抽象芸術やダダ、シュルレアリスムへといたる道も開いた。慣習的な美に果敢に挑み、視覚表現に 新たな可能性を開いたキュビスムは、パリに集う若い芸術家たちに大きな衝撃を与え、装飾・デザインや建 築、舞台美術を含む様々な分野で瞬く間に世界中に広まり、それ以後の芸術の多様な展開に決定的な影響を及ぼした。

本展では、世界屈指の近現代美術コレクションを誇る パリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語る上で欠くことのできない 貴重な作品が多数来日し、そのうち50点以上が日本初出品。20世紀美術の真の出発点となり、新たな地平を開いたキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など約140点を通して紹介する。日本でキュビスムを正面から取り上げる本格的な展覧会はおよそ50年ぶりだ。

展示構成

本展前半では、ポール・セザンヌやアンリ・ルソーの絵画、アフリカの彫刻など、キュビスムの多様な源泉を探る「キュビスムの起源」から始まり、ピカソとブラックがそれらを大胆に解釈しながら、緊密な共同作業によって全く新しい絵画を発明する軌跡を追う。

後半では、その後のキュビスムの展開に重要な役割を果たしたフェルナン・レジェ、フアン・グリス、ロベール・ドローネー、ソニア・ドローネーら主要画家たち、キュビスムを吸収しながら独自の作風を打ち立てていったマルク・シャガールら国際色豊かで個性的な芸術家たちを紹介する。また、第一次世界大戦という未曽有の惨事を経て、キュビスムを批判的に乗り超えようとするル・コルビュジエらのピュリスム(純粋主義)の運動や機械美学が台頭してくるまでを展覧する。

ポンピドゥーセンターについて

ポンピドゥーセンター外観
Centre Pompidou, architectes Renzo Piano et Richard Rogers, photo : G. Meguerditchian
© Centre Pompidou, 2020

近代芸術の支援者だったフランスのジョルジュ・ポンピドゥー元大統領によって1969年に構想され、1977年に開館したポンピドゥーセンターは、パリの中心部に位置する複合文化施設。なかでも同センターの中核を占める国立近代美術館は、20世紀初頭から今日にいたる世界屈指の近現代美術コレクションを誇り、キュビスムの優品を数多く収蔵している。プリツカー賞を受賞した2人の著名な建築家、リチャード・ロジャースとレンゾ・ピアノによって設計され、パイプやチューブ状のエスカレーターがむき出しになった特徴的な外観でも知られている。

<Information>

パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ
The Cubist Revolution
An Exhibition from the Collection of the Centre Pompidou, Paris

会期 2023年10月3日(火)〜2024年1月28日(日)
会場 国立西洋美術館

展覧会公式サイト https://cubisme.exhn.jp

text by STARRing MAGAZINE 編集部

 

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