restaurant library the hotel seiryu 小学校の面影を残した大人の食体験「給食」から「九食」へ

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restaurant library the hotel seiryu(レストラン ライブラリー ザ・ホテル 青龍)の屋外テラス。夕方の「日想観」体験もでき、朝食から夕食まで愉しめる場所

学校の下校を想い出す夕焼けを眺めながら。テラスでアペリティフも愉しめる。 

 

かつて小学校の講堂だった場所で、大人の「九食」を味わう

 

小学校の講堂であった「ザ・ホテル青龍 京都清水」内のrestaurant library the hotel seiryu。図書室(ライブラリー)にインスピレーションを得て、書籍をずらりと並べている。その数は、約1100冊。

上の二段は、天然由来の草木染めで知られる京都の染織工房「染司(そめのつかさ)よしおか」6代目・吉岡更紗のアート作品だ。

2階「restaurant library the hotel seiryu」は、小学校の講堂がレストランに甦った店内。手にとって読んでも愉しめるように、写真集や漫画など、学校の図書室のように多ジャンルの作品を揃えている

この5月15日より開始した、ホテル開業以来、初めてのディナーコースとなる料理は、こちらも学校の給食をモチーフにしている。

「給食」は、子どもたちにとって、栄養バランスに優れ、素材を知り、食の本質を学ぶ「食育」の場であった。「給食」を「九食」になぞらえ、9つのセクションで構成する。食材や調理法、器にもこだわり、興味を持って理解を深める大人の“ラグジュアリー”で豊かな「食育」となるように、運ばれる一品一品が全て大切に表現されている。

ホテルのために創られた、清水焼のオリジナルの器が美しい。窯元「蘇嶐窯(そりゅうがま)」のお嬢様は、元清水小学校の卒業生だそう。現在まで続く繋がりを感じる、エピソードだ。

湯葉吸

アミューズの「湯葉吸」は、かつおだしで、とろっとした汲み上げ湯葉にわさびのアクセントを効かせた、優しい味わい。

次の和前菜は、学び舎から残されたホテル中庭の大階段をイメージしている。小学生が1年生から6年生までにさまざまな経験をする様子を、目にも鮮やかな料理で表現する。地元・京都の赤、青の万願寺や白味噌を使うなど、モダンな6種の前菜に仕上げている。小さな玉ねぎの「ペコロス」や、小ぶりな大根「紅クルリ」の使用も面白く、食の興味をそそる。

(1段)赤、黄パプリカ、アボガド 合わせ味噌白和え 京小松菜、京揚げ、人参 酢味噌掛け
(2段)玉葱旨煮 葉とうがらし アサツキ 蓬麩、赤蒟蒻 京麩 ふきのとう味噌
(3段)ブロッコリー 赤・青万願寺 南瓜の天麩羅 赤味噌餡掛け 大根 紅クルリ アスパラ 白味噌ドレッシング 九条葱

手前は、京丹波大黒本しめじの豆乳入り茶碗むしで、京赤地鶏、豆乳のほか月桂冠の日本酒が入っている。新鮮な卵は、京都宇治の「ひらがいたまごWABISUKE」を使用している。

鯛の菜種焼き 白味噌ソース 叩き木の芽 季節の野菜を添えて

魚料理は、鯛の塩焼きを和風の調理法を用いている。卵白と菜の花を合わせたホイップ状のクリーム、白味噌、牛乳、生クリームをオリーブオイルでのばしたソースには、レモンが添えられている。最初はそのままで、次にソースをかけて、最後にレモンを絞れば、「時」の経過や味の変化が感じられる料理だ。野菜の炊き合わせは、季節によっても変わる。

牛フィレ肉のマリネ 温野菜 赤ワインソース

洋風の肉料理は、黒毛和牛のフィレ肉を塩麹でマリネし、じっくりと蒸して柔らかくジューシー仕上げ、じゃがいものエスプーマを添えている。

この後、京の香の物を添えた、筍御飯 刻み紫蘇 煎り胡麻が出る。小休止には、日本酒のジュレ。お酒好きな大人のために、日本酒はゲスト自身で好きなだけ足せる用意があるそう。

ディナーの最後は、レストラン内の奥のバーカウンターに移動し、デザートと京都南部和束産の京紅茶を味わう。京都「一保堂茶舗」の抹茶を使ったテリーヌだ。

デザートは、バーカウンターで。宇治抹茶とクリームチーズのテリーヌ フルーツ添えと京紅茶

大人の「九食」は、言葉遊びでウィットに富みながら食への想いが深い9品のコース。成熟した大人に向けて、和洋の食材や調理法、器のすべてに興味を持たせるコースだ。ディナー付き宿泊プランで、美食を愉しんで欲しい。


Well-being Breakfast

朝食は、6種類のメニューから選ぶ(こちらの記事では2種類を紹介)。いずれの料理も、1日のスタートをきるのに栄養と元気をチャージしてくれる、健康に良い素材を使った朝食だ。Well-beingがテーマで、彩りにも味にも「幸福」を感じる料理だ。理科の実験を思わせるシャーレに見立てた容器に、サラダやフルーツが入っているのもユニークだ。

朝の身体を気持ちよく目覚めさせてくれる、お目覚めの一品には、本日のスープが出る。ドリンクを選ぶことができ、緑色のジュースは、小松菜やはちみつを使用した飲みやすいスムージー風の、豆乳入り野菜ドリンク。透明なヴィネガードリンクは、酸味をおさえた、りんご酢を用いている。

本日のスープ、和え物、ガスパチョ、ギリシャヨーグルト。小学校で習う実験風のシャーレに入っているので、ふたを取る愉しみがある

朝食らしい卵料理には、ディナーと同じく、「ひらがいたまごWABISUKE」を使用。栄養価が高く、宇治にある農場の平飼いでストレスなく大切に育まれた卵は、綺麗なオレンジ色をしている。

「しば漬け入りリゾット卵かけご飯風 京の酩酊鳥のそぼろ味噌風味」は、卵かけ御飯風の料理。醤油ベースのべっこう餡付きで、味を変えたいとき醬油代わりにかける。

しば漬け入りリゾット卵かけご飯風 京の酩酊鳥のそぼろ味噌風味

「ラタトゥイユと卵のそば粉ガレット チーズ風味 生ハム添え」には、夏野菜のトマト煮であるラタトゥイユが別添えされ、こちらも味の変化が愉しめる。

ラタトゥイユと卵のそば粉ガレット チーズ風味 生ハム添え

ホテルには、最上階に位置するバー「K36 The Bar & Rooftop」、別棟レストラン「Benoit Kyoto」も。元は小学校の屋上であったルーフトップバーからは、京都の街並みを一望できる。

懐かしさに卒業生も訪れて記憶を辿るという、「ザ・ホテル青龍 京都清水」。ホテルを訪れた誰しも郷愁を覚え、現在の自分を起点に過去と未来に思いを馳せるような、温かみのあるモダンなホテルだ。

<Information>

The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu
ザ・ホテル青龍 京都清水

restaurant library the hotel seiryu(レストラン ライブラリー ザ・ホテル 青龍)
期間:2023年5月15日(月) ~
内容:和と洋をフュージョンした9つのセクションに分け構成
時間:6:00P.M.~9:00P.M.
料金:1室1名利用時(1名) ¥105,000、1室2名利用時(1名)¥62,500(サービス料・消費税込)*宿泊プラン利用者限定

公式URL
https://www.princehotels.co.jp/seiryu-kiyomizu

 
 

photo by 竹崎恵子(Keiko Takezaki)
旅&ライフスタイルをメインに、雑誌、PR誌等幅広い分野で活動中。海外は25ヵ国以上を撮影。

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
 
 

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