聖地の仏像が一堂に会する、浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」

重要文化財 十一面観音菩薩立像
平安時代(10世紀) 京都・禅定寺

浄瑠璃寺九体阿弥陀堂 画像提供:飛鳥園

京都府の最南部、木津川に育まれた南山城(みなみやましろ)は、奈良県に隣接した風光明媚な地。京都と奈良、両方の影響を受けて独自の仏教文化が花開いたこの地には、優れた仏像が伝わる。

南山城は、仏教が伝わったとされる飛鳥時代から、奈良時代、平安時代、鎌倉時代にかけて、政治や文化史の上で重要な地域だった。貴重な仏像の数々には時代の変遷が見られる。

重要文化財 十一面観音菩薩立像
平安時代(9世紀) 京都・海住山寺

9世紀は、奈良の都で唐文化を受け入れた影響を反映し、自然で流麗な身体表現、明快で鋭い彫り口が特徴。10世紀に入ると、太い鼻筋や張りのある頬や衣の表現などで、和様(わよう)の柔らかな表現がされる。

本展は、九体阿弥陀(九体の阿弥陀如来像)の大規模な修理完成を記念した特別展だ。浄瑠璃寺でずらりと並ぶその様子は極楽浄土を思わせ、そのうちの貴重な1体が展示されている。

国宝 阿弥陀如来坐像(九体阿弥陀のうち)
平安時代(12世紀) 京都・浄瑠璃寺

重要文化財 十一面観音菩薩立像
平安時代(10世紀) 京都・禅定寺

高さが約3mにおよぶ、迫力ある立像の頭の上にも注目。仏の顔の仏面を中心に、穏やかな顔、悪い行いを戒める怒った顔、牙を上向きに出して励ます顔、背面には口を開けて歯を見せる笑顔が見られる。

南山城の歴史や奥深さを感じ、聖地の貴重で珍しい仏像と出会える展覧会だ。

<Information>

浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」

会 期 : 2023年9月16日(土)〜11月12日(日)
会 場 : 東京国立博物館 本館特別5室
公式ウェブサイト:https://yamashiro-tokyo.exhn.jp

 

text by STARRing MAGAZINE 編集部

 
 

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