舞羽美海×十碧れいや、宝塚歌劇OGの同期が出演! 1人の男性を取り合う!? ロンドンコメディ『Run For Your Wife』
2019年初演で好評を博したプロダクション、ロンドンコメディ『Run For Your Wife』。今回が、3回目の上演となる。
平凡なタクシー運転手のジョン・スミスは、人には言えない秘密があった。実は優柔不断な性格から二重結婚をしていたのだ。早番と遅番を使い分けた綿密なスケジュールで、2人の妻と楽しい重婚生活を送るジョン。しかし、ある日アクシデントによってスケジュールが狂い秘密が発覚しそうに! ウソにウソを重ねる、抱腹絶倒の大騒動を描く。
ジョンの2人の妻を演じるのは、メアリー・スミス役に舞羽美海さん、バーバラ・スミス役に十碧れいやさん。2人は、宝塚歌劇団出身で、93期生の同期。『Run For Your Wife』は、1人の男性を巡ってそれぞれに個性豊かな妻のキャラクターを演じるシチュエーションコメディだが、オフでは仲良しで息ぴったりの掛け合いのようなインタビューとなった。
新型コロナウィルス感染防止のため3度にわたる延期を乗り越え、共演するバージョンは、7月ついに上演となる。過去に同じペアで2度お稽古をし、本番に向けてのタイミングで延期になったそう。この作品と、改めて向き合うことになる。
演じる役柄について
2人の役柄について、教えてください。
舞羽美海(以下、舞羽)
メアリーは、二重生活をされているなんてまったく思っていない、ただ旦那さんのことを愛していて、日々の生活を普段通りに毎日過ごしている奥様です。
お芝居の前半は、強いというより、柔らかい雰囲気の役のイメージですね。
十碧れいや(以下、十碧)
バーバラは、キャリアウーマン。そんな彼女がたまたま、ジョンのタクシーに乗せてもらって一目惚れをし、ぐいぐい迫って結婚した背景があります(笑)。
バーバラは、自分から積極的に行くタイプだと思います。ジョンのことを心配したり、彼に甘えたりもしますが、たまにドスの効いた声を出すので(笑)、いろんな面がある女性だな、という印象です。
ご自身と役の共通点はありますか?
十碧
旦那さんのジョンには、ずいぶん怪しい部分があると思いますが(笑)、バーバラは一切疑うことがありません。私自身も人を信じやすく、騙されるのではないか、と言われることが多いので(笑)、そこは似ていると思います。
舞羽さん演じるメアリー役は、前半と後半ではキャラクターが、かなり変化しますね。
舞羽
似ている部分は…無いと思います!(一同笑)客席で舞台を観た時も、非常にパワフルな役という印象でした。
前半はふんわりした雰囲気なのですが、演じてみて、電話をかけたり、バーバラの家に行ったり、ジョンを心配するあまり、行動力のある女性だと思います。感情がヒートアップすることは普段ほぼ無いので、台本を読んでお稽古をしていても、後半で爆発するスイッチを入れるのは大変です!
電話をしながら舞台上で同時に喋る場面は、同期でやりやすいですか?
(舞羽、十碧)難しかった! 結構、一緒に練習したね。
舞羽
自分たちそれぞれのテンポにお互いのセリフを入れるタイミングが難しく、何を言っているかはっきりと分かる必要もあるので、2人で練習しました。
十碧
セリフを同時に言うところもあって大変でしたが、お互いの空気を感じながらやりやすい、というのはありました。
突然、稽古場の椅子で、2人で練習を始めることもあったよね(笑)
舞羽
お稽古の待機中も、いつも練習していました(笑)レナ(十碧の愛称)と一緒の稽古はとてもやりやすかったです。
コメディの演技
コメディの演技は、いかがですか?
舞羽
精神的に大変ですね(笑)。
お客様に笑っていただけると嬉しくなりますが、笑って欲しいと思うと、客席は微妙にそれを感じて笑えなくなってしまうと思います。狙うのではなく、「本気」で演じるだけです。
十碧
笑いを狙いにいったら、アウトですね。
舞羽
アウトです(笑)。
十碧
脚本が面白いので、その通り演じれば面白い舞台を届けられると信じて、邪念を捨てて(笑)演じたいと思います。
舞羽
コメディは、スピード感と、共演者の皆さんとの掛け合いが大事です。台本が素晴しいので、忠実に演じたいと思っています。そこで生まれる化学反応を楽しんで頂けると嬉しいです!
台本を最初に読んだ印象
台本を最初に読んだ時の印象は?
十碧
自分が演じると分かっていて読んでいるので、この膨大なセリフと作品に忠実に書かれている細かいト書きを見て、大変そうだと思いました。同時に、とてもやりがいを感じました。
舞羽
私は、演じるとまだ決まっていなかった時に楽しく観劇して、客席で大笑いしました。観ているときは面白い作品ですが、演じるのは大変そうだと思いました。
実際の台本には細かくト書きがあって、計算し尽くされたシチュエーションコメディであり、すべてがお客様に伝わるように書かれていて素晴らしい作品です。
共演者について
主人公のジョン・スミス役を演じる、山本一慶さんの印象は?
十碧
さりげなく全員のことをしっかり見ていただいている心強さを感じます。稽古場では、私たちの行動もすベて把握してくださっていました(笑)。
私がお稽古でセリフを言うのに精一杯で焦っていたら、次はそこから出て、その次はあそこから、という風に全部教えてくださって、本当に頼もしかった! 初演も再演もジョンを演じてらっしゃるので、とても安心感があります。
舞羽
本当にそうなんです。大きな視野でみんなを見てくださって引っ張ってもらえる、信頼できる座長です。
近くで演技すると、肌が白くてお綺麗で、本当に美しい方です(笑)。大変な役なのに冷静さを持って、そのバランスがすごいと思います。
再演は、主役の山本一慶さん以外は新たなメンバーですね。ジョンの友人、スタンリー・ガードナー役を石田隼さんが演じます。
舞羽
石田隼さんは、舞台を拝見したことがあるのですが、天才的でした! ご本人は計算をしていらっしゃると思うのですが、その場のすべてをさらっていく自由な演技で、またお話の主軸に戻すと言うバランスが素晴らしいと思いました。共演が楽しみです。
十碧
演じる側は、何が舞台で起きるかわからない怖さもありつつ、非常に楽しみです。今回の再演は、若い年齢の方も多いフレッシュなカンパニーです。
舞羽
新しいメンバーだからこそ、どうなるか予想がつかない楽しみがあります。
お互いの演技
お互いの演技を見て、いかがですか?
十碧
ミミちゃん(舞羽)のイメージにまったく無いタイプの役柄なので、新鮮です。皆さん、こんなに叫ぶミミちゃんを見られるのは貴重ですよ!
舞羽
(笑)テンションを上げるとセリフも飛ぶし、もう少し落ち着いて、と言われました。中途半端にお稽古をしていると覚えられませんし、どのような状態だとセリフが飛んでしまうかもやってみないと分かりませんので、お稽古場は汗だくでした(笑)。
あまり日常で叫ぶことは無いので、メアリーのように溜めて感情が突然バーンと爆発するような役は、自分でかなりスイッチを入れる必要があると思っています。ハードですが、この役を通して、自分がいろんな発見を得ている気がします。
十碧
テンションを上げて徐々に落としていく位に、行くところまで行き着かないと難しい役だから、本当にメアリーは大変な役だと思います。
舞羽
レナは、バーバラ役にぴったりだと思って見ていました。
天然のほわっとした部分と、台本のト書きにある「ドスを効かせた」部分で本領発揮(笑)している姿を見て、どちらも魅力があります。色気もある役で、いろんな色に挑戦しているのが頼もしく、演技をしていて楽しそうだな、と思いました。
バーバラは、電話のシーンが多くて大変ですが、その課題を次の日には克服していてすごいな、とその様子をお稽古場で見ていました。
十碧
1幕の序盤は、ほぼ電話のシーンで、いろんな方と代わる代わる電話するので、大変なんです。さらに、セリフを言う相手にではなく違う人にかけなければいけなかったり、似たような言い回しが多かったり、とにかく混乱します(笑)。
舞羽
こちらが一生懸命説明するのに、バーバラが、「どうして?」と混乱に陥るのは、お客様も同じ気持ちになると思います。
元宝塚歌劇団男役スターの十碧さん。今回は、セクシーな大人の女性を演じますね。
十碧
セクシーに関しては永遠の課題ですね(笑)。
舞羽
宝塚歌劇団を卒業後、女優として役の経験を積んで、男役の時には出せなかった、女性の色気が十分に出ていると思います(笑)。
十碧
レベルアップした色気をお見せできるよう、頑張ります(笑)。
宝塚歌劇団卒業後、現在の心境
退団後、現在の心境はいかがですか。
舞羽
退団後、11年目を迎えました。沢山の舞台を経験させて頂きましたが、本番は常に緊張します。
十碧
そんなに経つんだね! 全然変わっていない(笑)。
舞羽
小道具を持つと、手が震えているのが自分でも分かる(笑)。
十碧
私は、卒業してもうすぐ5年になります。
舞羽
もう5年!?
十碧
早いですね。もう今年も半分終わる、と毎年のように時間が過ぎる早さを感じております(笑)。
台詞劇のコメディに2人で挑む!
今回の台詞劇に挑む、お気持ちをお願いします。
舞羽
2人で共演した舞台『ル・シッド』という作品があるのですが、台詞量が膨大で(笑)。それを除いては、役者人生でこんなに台詞がある作品はありません。
台本の厚さを見ると、プレッシャーだなと改めて怖さも感じますが、多くの舞台を経験させていただいていて緊張している自分の状態も分かるので、冷静に、共演者の方々と舞台を楽しみたいと思っています。
十碧
私もストレートプレイの出演が多いのですが、『ル・シッド』は本当に大変でした(笑)。この作品を演じたときは、一人で台本と闘っているようにも感じましたが、今回は様々なジャンルの共演者の皆さんと演技のやり取りも多く、また違った緊張感です。ドキドキしていますが頑張ります。
前半は貞淑な妻だが後半では疑心暗鬼になりキャラクターが大きく変化する、舞羽美海さんのメアリー役、元宝塚歌劇団男役スターの十碧れいやさんが演じる女性のバーバラ役、どちらにも注目!
いよいよ舞台で対峙する、舞羽美海×十碧れいや をお楽しみに。
<Information>
ロンドンコメディ『Run For Your Wife』
期間:2023年7月12日(水)〜 7月19日(水)
劇場:あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)
料金:7,700円(全席指定) 発売中
公式サイト
https://artistjapan.co.jp/runforyourwife2023/
作:レイ・クーニー
訳:小田島雄志/小田島恒志
出演:
山本一慶(ジョン・スミス)、舞羽美海(メアリー・スミス)、十碧れいや(バーバラ・スミス)
松井勇歩(トラウトン警部)、ピクニック(ポーターハウス警部)、石田隼(スタンリー・ガードナー)、小澤亮太(ボビー・フランクリン)
企画・製作:アーティストジャパン
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photo by 近澤幸司 (Koji Chikazawa) https://www.chikazawakoji.com/
高知出身、都内在住のフォトグラファー。静止画、動画、ジャンルを問わず撮影中。
Twitter @p_tosanokoji
text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE 編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。